イギリスの田舎の小さな村での6年ほどの暮らしで、いろいろな
面白い体験をしました。 アンティックフェア、出会った動物オープンガーデン、
パブのことなどなど、少しづつ書いていくつもりです。

冬は私の好きな季節!一度雪を降らしてみたかったのです(笑)!
きれいでしょ! 春が来るまで雪を降らしておきますね・・

2002.12.7  りんごの木
 りんごを炊く甘酸っぱい匂いがキッチンに流れて、それからパイの焼ける香ばしい匂いが家中に広がるのは、秋も深まったころ。 ヨーロッパの人にとって、りんごは、ひときわ思い入れの深い木のようです。 きっと、聖書に出てくるずーっとずーっと前から、大事に育て、食べていたんでしょうね。
 村の友達も言っていました。 子供のころ住んでいた家には、大きなりんごの木があって、その枝にブランコがつるしてあって、いつも遊んでいたと。 ある日、いつものようにブランコをこいでいると大きなりんごが落ちてきて、顔に激突! 目の周りに大きなあざができたとさ。
 私が住んでいた家の3軒となりのわらぶき屋根のうちには、大きなりんごの木があり、入り口に”りんご売ります”の小さな看板が遠慮がちにおいてありました。 日本の甘い甘いりんごと違い、小さくて硬いけれど、パイや焼きりんご、ジャムにすると本当においしいのです。
 我が家は、古〜い藁葺き屋根の家を借りていたわけで、前庭もバックヤードも自由に使わせてもらっていました。 自分の物でもないのにせっせといろいろなもの植えるのバカみたい。そう思いながらもたくさんの球根や一年草の苗を植えていました。 そして大好きなイギリスのこの村に少しでも長くいられるようにと願いながら、ついにりんごの木を植えたのです。 1mくらいの小さな苗でした。
 たった一枚だけある写真(誰が撮ったんだ!ピントが後ろに合っている、よく分からない写真だなー!)には、ほら、でもちゃんと実がついているでしょ。 でもまだ、あんまり小さすぎて、ぜんぜんおいしくはなかったのです。 10年経って今は立派な実がなっているかなーと、紅玉を食べながらあの木に思いをはせています。

2002.12.19   ハリネズミ
イギリスの田舎は、動物がいっぱい。
裏庭の垣根の向こう側は農場だったので、牛、羊はいつもうろついてました。 馬も時々乗っている人を見かけました。 驚いたのは、ハリネズミとの遭遇です。
 ま〜ハリネズミ君のほうが、もっと驚いたようでしたが・・・。 ピーターラビットのお話に出てくるハリネズミのティギーおばさんの絵そっくりなのが、裏庭にいたのです。 何かを出そうと、ある日物置小屋をあけると、バケツの中に見たことのないイガイガしたものが入っていました。 なんだー?と思いながらよ〜く見ると、丸まっているハリネズミだったのです。
 わー、変なのがいるーー!とさっそく主人を連れてきて、二人で覗き込みました。 そーっと棒で突っついてみると、びっくりしたハリネズミはますますイガイガを立ててまん丸体制。 『水かけたら出てくるかもしれない・・・』と主人は不穏な発言。 で、実行しました。 バケツの中に水を流し込んだら、超ビックリのハリネズミ君、バケツをひっくり返し、猛スピードで小屋から逃げていきました。 ほんとにめちゃめちゃあわてていました。 寝ているところをちょっとかわいそうだったのかな? その後も何回か庭で遭遇したかわいいやつです。

2003.3.15  ラズべりー
村からそう遠くないところに、森がありました。 その森は遠い遠い昔からある森で、その入り口にはローマ時代に作られたとても小さなロマネスク様式の教会がありました。
 ある日、ドイツ人の友人に連れられてその森の中を散歩していたときのことです。 一つ一つ木の名前を英語とドイツ語で説明しながら、彼女は、『いいものがあるところ知っているの!』と、ラズベリーがなっているところに連れて行ってくれたのです。 うれしそうに、彼女はその実を摘んで、食べ始めました。 『おいしいわよ。ここへ来て食べてごらん!』と私を誘うのです。 きれい好きのドイツ人の彼女の行動に、私はかなりびっくり。 それほど・・・というかぜんぜん潔癖症ではない私ですが、木から摘み取った実を洗わずに食べることには、ちょっと抵抗がありました。
 『洗わないで食べるの?!』と言う私に彼女は、『そうよ。 だって、鳥も動物もみ〜んなそうして食べているじゃない。 へいきじゃない!』との答え。 そうだ、そうなんだ! そんな当たり前のことを、私は忘れていたのです。 みんなそうやって自然に生きているのだと気づき、うれしい気分になったのをよく覚えています。 知らないうちに固定観念にしばられていることにも気づかずに暮らしているのですね。 木になっている実を摘んで、そのまま口に入れることもしなくなっていた自分がちょっと照れくさかったです。 高いこずえから木漏れ日が降り注ぐ森の中は、木や苔や土のいい香りがします。 ラズベリーの実は、すっぱくてワイルドな森のおやつでした。

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